プロフィール |
Author:wingsfan
ポール・マッカートニー&ウイングス のトリビュート LIVE フェスティバル WINGSFAN をプロデュースしてい ます。このブログは私が日常生活 の中で興味を持ったことやウイン グスや WINGSFAN などに関する 情報などを毎日掲載しています。
wingsfan@wingsfan.net
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ビートルズ解散後、初めてメンバー全員が参加したリンゴ・スターの代表作 |
27日からリンゴ・スター・オールスター・バンドの来日公演が始まっている。オールスター・バンド名義での第1回目の来日は1989年だったので、今回は30周年という節目の年。そんなこともあってか、リンゴは78歳であるにもかかわらず全9公演(うち2公演は追加公演ではあるものの)という力の入れようだ。公演の成功を祈念する意味も込めて、今回はリンゴが73年にリリースしたソロアルバム「リンゴ」を取り上げる。本作「リンゴ」はソロ作品としては3枚目となるのだが、その前に出た「センティメンタル・ジャーニー」と「カントリー」の2枚は、彼の趣味的な側面にスポットを当てた企画作品のような性質なので、この「リンゴ」こそが本質的なデビューソロ作だと言ってもいいだろう。なにしろこのアルバム、すごい面子をバックに携えチャートでも好成績を残すなど、彼の代表作となった。
ザ・ビートルズのムードメーカー ザ・ビートルズというグループの中にあって、リンゴ・スターは地味な存在だと思われがちである。確かに、メンバー4人のうち、強烈な個性を持った天才肌のジョン・レノン、ストイックなメロディーメーカーのポール・マッカートニー、優れたソングライティングの才能を持ち、かつハンサムなジョージ・ハリソンの3人と比べると、リンゴは分が悪いかもしれない。しかし、彼は他のメンバーにはない“癒やし”の感覚を持っている。ジョンとポールの関係が悪くなってピリピリした雰囲気が続いた時、リンゴの緩衝材的な存在はメンバーにとって大きかったはずだ。それは、彼がリードヴォーカルを務めた「オクトパス・ガーデン」「イエロー・サブマリン」「ホワット・ゴーズ・オン」などを聴いても分かる。そのほんわかしたムードは、真っ直ぐで優しいリンゴの人間性を表していると言えるだろう。とはいっても、ビートルズ末期の頃はストレスも極限に近かっただろうし、実際大きなストレスを抱えスタジオから逃げ出してしまったこともある。映画俳優としての仕事を手掛けたのも、グループ内の人間関係に押し潰されそうになって第2の人生を模索していたからである。彼の俳優としての実力は賛否あると思うが、それでもビートルズ映画の「ビートルズがやってくるヤア!ヤア!ヤア!」「 HELP! 4人はアイドル」の2本と「おかしなおかしな石器人」でのユーモアあふれる演技は、彼ならではのとぼけた味が出ていて素晴らしかった。
30周年となるオールスターバンド そんな彼の人懐っこい性格は、身近にいる多くのアーティストも知っており、最初のオールスターバンドが結成された時、そのメンバーの層の厚さに驚いたものだ。ジョージとリンゴが共に大好きだったザ・バンドのメンバー3人をはじめ、1971年のバングラデシュのコンサートでリンゴとツインドラムを務めたロック界きっての名ドラマーのジム・ケルトナー、ニューオーリンズ音楽の重鎮で、セッションマンとしても超売れっ子のドクター・ジョン、後期ビートルズでキーボードを担当したビリー・プレストン、ジェームズ・ギャングやイーグルスのメンバーで、ソロアーティストとしても知られるジョー・ウォルシュ、ブルース・スプリングスティーンのEストリートバンドで有名なクラレンス・クレモンズ、元グリンのリーダーで名ギタリストのニルス・ロフグレン(Eストリートバンドのメンバーでもある)ら、アメリカのロック界を代表するアーティストたちであった。このメンバーで初来日したのが1989年、この時僕は大阪公演に行った。詳細は忘れてしまっているが、リンゴがザ・バンドの「ザ・ウェイト」を演奏している事実に大興奮したことだけはよく覚えている。最初のオールスターバンドはアメリカンロックが中心の組み立てであるものの、リンゴがヴォーカルの曲ではビートルズの香りがしっかり漂い、ひときわ大きな歓声となっていた。この後もオールスターバンドは不定期ながらも継続し、都度メンバーを入れ替えて現在は第14期にあたる。今回の来日公演は、ポールのバックメンとしても活躍したアヴェレージ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュワート、サンタナやジャーニーで活躍したグレッグ・ローリー、メン・アット・ワークのコリン・ヘイ、そしてトトの名ギタリスト、スティーブ・ルカサーらが参加しているので、今回もまた楽しいステージになることは間違いない。
ソロ活動 リンゴの最初のソロアルバム「センティメンタル・ジャーニー」はビートルズの「レット・イット・ビー」が出る前にアップル・レコードからリリースされた。思えば、70年はビートルズの各々のソロ活動が目立った年で、ポールは「マッカートニー」、ジョンは「ジョンの魂」、ジョージは「オール・シングス・マスト・パス」など、話題作が次々にリリースされている。リンゴはジョンとジョージのアルバムに参加しているのだから、やはりメンバーの彼への信頼度は高いのだ。この年はビートルズの解散騒動もあってか、「センティメンタル・ジャーニー」は好成績を収めている(全英チャート7位、全米チャート22位)。同年終わりには早くも2枚目のソロ作となる「カントリー・アルバム(原題 Beaucoups Of Blues)」が出ているが、流行を追っているわけではなく、あくまで彼が好きな音楽をストレートに演奏するという性質だ。どちらのアルバムも記念にレコーディングしましたって気がする。間違っても、売れようという考えはなさそうだ。ビートルズ時代からリンゴのカントリー好きはよく知られており、バック・オーエンズの「アクト・ナチュラリー」をカバーしたり、「オクトパス・ガーデン」のようなカントリーテイストのある曲を歌っている。しかし、スタンダード~カントリーという流れは、当時のロックファンには絶対にウケけないスタイルであった。90年代になると、オルタナティブ系ロッカーたちがカントリー好きを表明したりアンプラグドが流行ったりと、カントリー~アメリカーナ系の音楽にも光が当たるようになったが、当時は王道カントリーと正統派スタンダードは若者は見向きもしなかっただけに、リンゴの“好きなものは好きだ!”という毅然とした姿勢は潔いと思う。実際、「カントリー・アルバム」は売れなかったが、ナッシュビルまで赴いて録音しており、リンゴのカントリー音楽に対する並々ならぬ思い入れを感じる。バックを務めるのはジェリー・リード、ベン・キース、ピート・ドレイク(プロデュースも)、DJ・フォンタナ、チャーリー・マッコイ、若かりしロイ・ハスキー・ジュニア他によるナッシュビルの超一流ミュージシャンであり、憧れのアーティストに会ったリンゴは大いに感動したようである。CD化に際して、このアルバムに参加した全ミュージシャンによる7分近くにも及ぶセッション「ナッシュビル・ジャム」が追加収録されているのが嬉しい。そして、71年には大ヒットシングル「明日への願い(原題 It Don't come easy)」をリリース、全米、全英チャートで4位まで上昇(米キャッシュボックス誌では堂々の1位)、曲作りとアレンジに関してはジョージが全面的に参加している。面白いのは、このシングルのB面に収録された「1970年代ビートルズ物語(原題 Early 1970)」で、ポール、ジョン、ジョージのことが各ヴァースで歌われており《3人に会いたい》という言葉で締め括られる。リンゴらしい優しさにあふれた歌だと思う。
本作「リンゴ」について リンゴが「1970年代ビートルズ物語」で歌った望みは、完全なかたちではないが、本作「リンゴ」で実現することになる。ビートルズ解散後、メンバー全員がひとつのアルバム内でクレジットされるのは、これが初めてとなる。もちろん、顔を突き合わせての録音は叶わなかったが、それでもやっぱり快挙だろう。収録曲は全10曲。CDには「明日への願い」と前述の「1970年代ビートルズ物語」、「ダウン・アンド・アウト」(本作収録の第一弾シングル「フォトグラフ」のB面)の3曲がボーナストラックとして収められている。アルバムはジョン・レノン作の「アイム・ザ・グレーテスト」からスタート。この曲はリンゴ、ジョン、ジョージの3人とクラウス・フォアマン、ビリー・プレストンという布陣での録音。「シックス・オクロック」はポールとリンダの共作で、リンゴ、ポール&リンダ、著名なソングライターとしても知られるヴィニ・ポンシア、クラウス・フォアマンというメンバーでの録音。ジョンとポールは1曲ずつの提供だが、ジョージは3曲を提供(リンゴとの共作を含む)しており、そのうちの「フォトグラフ」は第一弾シングルとしてリリースされ、全米1位の大ヒットとなる。凝ったアレンジがなされているが、シンプルで優しい曲調が特徴だ。「サンシャイン・ライフ・フォー・ミー」ではリチャード・マニュエルを除くザ・バンドの面々に、ジェリー・ジェフ・ウォーカーのバックギタリストとして名を挙げたデビッド・ブロンバーグとジョージ、クラウス・フォアマンが参加し、オールドタイムの香りのするアメリカン・ルーツロックに仕上がっている。ジョージもリンゴも、本当にザ・バンドが好きなんだなと再認識できるナンバーだ。第2弾シングルとしてリリースされ、これまた全米1位を獲得する「ユー・アー・シックスティーン」はシャーマン兄弟作で、ジョニー・バーネットが1960年にヒットさせたオールディーズ曲。ポールがカズーで参加し、ひょうきんな良い味を出している。僕が本作で一番好きなのが第3弾シングルの「オー・マイ・マイ」(全米5位)。トム・スコットのサックス、ジム・ケルトナーのドラム、ビリー・プレストンのピアノ、クラウス・フォアマンのベース、ボックヴォーカルにメリー・クレイトンとマーサ・リーヴスというメンバーで、70sストーンズみたいなスワンプロックを聴かせる。本作で最もファンキーで泥臭いサウンドになっている。アルバムに参加したメンバーは前述のミュージシャンの他、マーク・ボラン、スティーブ・クロッパー、ニッキー・ホプキンス、ハリー・ニルソン、ジェームズ・ブッカー、ボビー・キーズ等々で、リンゴの広い人脈というよりは、彼が好きな人を集めたという感じである。考えられないほど豪華なメンバーが本作を盛り立てているわけだが、主役はちゃんとリンゴになっている。言い換えれば、彼の温かい人間性がちゃんと見えているわけで、そのあたりに本作の魅力があるのだと思う。オールスターバンドのコンサートに行った人も行かない人も、この機会に本作「リンゴ」をぜひ味わってみてください ♪
Thanks! okmusic
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多彩なヒット曲が楽しめるリンゴのライブの魅力 僕には多くの音楽仲間がいる |
リンゴ・スターが豪華ミュージシャンを率いたスーパー・バンド、リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドによる、およそ3年ぶりの来日公演が3月27日、福岡サンパレス ホテル&ホールを皮切りにスタートした。この日の公演を含め、ツアーは広島や仙台、福島など全国7都市9公演で行われる予定だ。Rolling Stone Japan では、来日前の彼に「意気込み」についてなどの電話インタビューを行っているが、幸運にも初日の開演直前、直接会って再びコメントをもらうことに成功した。ほんの数分という短い時間だったが、日本での過ごし方や、現在レコーディング中の新作のこと、そして今年公開予定のビートルズの映画についてなど、ざっくばらんに話してくれた。今回は、その時の発言を紹介しながら、リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのライブの模様をお届けしたい。
そもそも「リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド」とは何か。これは、今からちょうど30年前に結成された文字通り「オール・スター・バンド」である。第1期はビリー・プレストンやリヴォン・ヘルム(ザ・バンド)、ドクター・ジョンといったメンバーが集結。その後、ツアーが行われるたびに顔ぶれが変化していく。これまでに参加したミュージシャンは、トッド・ラングレンやジョン・エントウィッスル(ザ・フー)、ジャック・ブルース、シーラE、エリック・カルメンなどなど、今や鬼籍に入った者も含めてそうそうたるメンツ。時にはリンゴの息子、ザック・スターキー(オアシス、ザ・フー)が加わったこともあった。リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドの見どころは、参加したミュージシャンのレパートリーもセットリストに組み入れるところにある。そのため、私たちはビートルズ時代~ソロ時代のリンゴの曲はもちろん、往年の名曲を本人の演奏(および歌)で堪能することが出来るのだ。
今回のツアーには、スティーブ・ルカサー(TOTO)やグレッグ・ローリー(サンタナ、ジャーニー)といった、ここ最近のお馴染みメンバーに加え、コリン・ヘイ(メン・アット・ワーク)とヘイミッシュ・スチュワート(アヴェレージ・ホワイト・バンド)の2人が10年ぶりに復帰。実は、日本ではこのラインナップでの来日は今回初めてということもあり、TOTOやサンタナの楽曲に加え、メン・アット・ワークの「Who Can It Be Now」(邦題「ノックは夜中に」)や、アヴェレージ・ホワイト・バンドの「Pick Up the Pieces」といった楽曲も聴けるのではないか、否、聴けるのは「必至」ということで、この日の会場である福岡サンパレス ホテル&ホールには、リアルタイム世代である年配はもちろん、その子どもの代、さらには孫の代まで男女問わず幅広いオーディエンスが集まっていた。「日本に来ると、いつもショッピングを楽しんでいるよ(笑)。中でもジーンズを買うことが多いかな。福岡だと、いつも滞在してるホテルの近くに大きなショッピング・モールがあって、そこへ行くのを楽しみにしてる。今、着てるこのジャージもそこで買ったんだ」(リンゴ:以下、括弧内の発言は全てリンゴによる当日のコメント)
こちらの予想通り、ライブはのっけから名曲の大盤振る舞い。ステージ袖から颯爽と現れたリンゴが、オール・スター・バンドをバックに「Matchbox」や「It Don't Come Easy」「What Goes On」など自分の曲を立て続けに3曲披露したあと、メンバーたちの持ち曲タイムへと移る。ユニークなのは、例えばサンタナの「Ewil Way」を歌い終えたグレッグが、次に「Rosanna」を歌うスティーヴのことをMCで紹介するという「リレー方式」になっていること。お互いのことをユーモアたっぷりに話すこの日の様子からも、バンドは今、非常にいい状態にあることが伺える。「日本での演奏はいつだって楽しいよ。家で1人でドラムを叩いてたって退屈なだけだしさ。素晴らしいミュージシャンとリハーサルしたり、ステージに立ったりすることが何よりも好きなんだ」。最初から最後まで「知っている曲だらけ」という贅沢なセットリストだったが、とりわけ盛り上がったのは、やはりどうしたってビートルズの楽曲だ。「Yellow Submaline」では、黄色く光るサイリウムを持ったオーディエンスがウェーブを作り、「Boys」ではサビの掛け合いコーラス「バッシュワ、バ、バ、 シュワ」を全員でシンガロング。
ビートルズといえば、今年2019年は「ゲット・バック・セッション」(主に、アルバム「Let It Be」のために行われたレコーディング・セッション)と、その一環として行われた「ルーフトップ・コンサート」(ビートルズが自社ビルの屋上で行った、ゲリラ的なライブ・パフォーマンス)から50年。それを記念し、当時の映像をまとめた新作映画がピーター・ジャクソン監督によって製作されることが発表されている。ジャクソン監督とビートルズには、実は「浅からぬ縁」があるのをご存知だろうか。ジャクソンがメガフォンを取り、空前のヒットを記録した「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ。その原作であるファンタジー小説「指輪物語」(J・R・R・トールキン)を、実はビートルズも映画化しようと動いていたことがあるのだ。ジョンがゴラムを、ポールがフロドを、ジョージは(もちろん)ガンダルフを、そしてリンゴはサムを演じることまで決まっていて、かのスタンリー・キューブリック監督に打診し断られたという過去があった。ビートルズが果たせなかった夢を、「ロード・オブ・ザ・リング」でカタチにしたジャクソン。彼が今度は4人のドキュメンタリー映画に着手するとは、何やら感慨深いものがある。
「ゲット・バック・セッションで撮影した映像で、まだ世に出てない素材が56時間もあるんだ! それをピーターと一緒に、iPadを使ってすべて観たよ。マイケル・リンゼイ=ホッグが編集した、当時の映画「Let It Be」は、いささか酷い内容(miserable)だったと思うんだよね。ジョンとポールがやり合っているところをあえて抜き出したりしていてさ」。「Paperback Writer」や「Rain」のプロモーション・ビデオを製作したリンゼイ=ホッグ監督による1970年公開の「Let It Be」は、「ルーフトップ・コンサート」をクライマックスに構成されたドキュメンタリー映画。リンゴが述べたように、メンバー同士の険悪な雰囲気がそのまま収められているためか、長らく未発売が続いていた。その間、何度かポールの口から「再発の可能性」がほのめかされていたのだが、まさかこのような新しい形で世に出ることになるとは思わなかった。「あの時、僕らはたくさんの喜びを感じていたし、めちゃくちゃ笑い合ったし、何よりいい音楽がたくさんあったからね。ピーター・ジャクソンによる新作は、そこにちゃんとフォーカスを当ててくれるだろう。観ている人がもっと高揚する作品になると思うよ」。
閑話休題。この日のリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドは25曲を演奏し、最後にオマケの1曲を披露し会場を去った。まだツアーは続くため詳細は控えるが、ビートルズ、リンゴ・スター、トト、サンタナ、メン・アット・ワーク、アヴェレージ・ホワイト・バンドなどの大ヒット曲を、一夜にして網羅できてしまうステージは、この上なく贅沢なものだった。日本ツアーを終えた後、束の間の休暇を取って北米ツアーを行う予定のリンゴ。前作「Give More Love」(2017年)以来となる新作のレコーディングに本格的に取り掛かるのはその後だろうか。「今は新作を少しずつ作っているよ。僕にはたくさんの音楽仲間がいるので、彼らがお茶を飲みに遊びに来たら、彼らを誘ってセッションしたり、共作したりしているんだ。そのためのちょっとしたスペースが家にあるからね。取り掛かっているのは7曲で、まだ完成はしてない。そのうちの1曲は、ジョー・ウォルシュ(イーグルスのギタリスト)と一緒に書いてる。知っての通り、彼は義理の弟だよ(ジョーは、リンゴの妻バーバラ・バックの妹と再婚している)。ある夜、彼も含めた数人の友人たちと夕食を食べて、そのあとセッションしているうちに曲になっていったんだ。あとは、「Thank God The Music」や「Magic」のような、曲名だけ先に決まっているものもある。誰かが送ってくれた「Life Is Good」というタイトルの本があって、そこからインスパイアされて書いた「Life Is Good」という曲もあるしね。もし良さげなタイトルを君がくれたら、1曲プレゼントするよ(笑)」
Thanks! Rolling Stone Japan
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リンゴ・スター アンド・ヒズ・オール・スター・バンド 3月27日 日本 福岡公演 |
通算5回目・およそ3年振りとなる日本公演の記念すべき幕開けはここ福岡から! 定刻の19:00を少しまわったところで会場内が暗転。ステージ袖からオール・スター・バンドのメンバーが次々と定位置につくと最後に今夜の主役であるリンゴ・スターが両手でピース・サインをしながら颯爽とステージに登場! 「レイディーズ・アンド・ジェントルマン、プリーズ・ウェルカム・リンゴ・スター・アンド・ヒズ・オール・スター・バンド!!」というアナウンスの直後、グレッグ・ビソネット(Dr.)のカウントからオープニング・ナンバー「Matchbox」でステージがスタート。カール・パーキンスのナンバーでビートルズ時代のカヴァー曲で幕が開くとリンゴから「ピース&ラヴ、エヴリバディ」と挨拶が。続く「アー・ユー・レディ・ハヴ・サム・ファン?」「アー・ユー・レディ・ヒア・サム・グッド・ミュージック?」という問いかけにオーディエンスが「イエーイ!」と応えるとそれを受けて2曲目の「It Don't Come Easy」(明日への願い)へ。1973年リリースの本格的なオリジナル・ソロ・アルバム「リンゴ」収録曲で本国イギリスでは自身初のシングルとしてアルバムに先駆けて1971年にリリースされた記念すべきナンバー。メロディックなイントロが始まるとオーディエンスの手拍子が自然と巻き起こり会場の雰囲気が一気にリンゴ・スターの世界に。曲が終わると「アイ・ゲット・トゥ・エキサイテッド!」とリンゴからも興奮気味の言葉が。続く3曲目、「この曲はレノン・マッカートニー・スターキーで書いた曲」という紹介とともに「What Goes On(消えた恋)」へ。ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」収録のナンバーでリンゴのソングライター・デビュー作。この3曲ですっかり会場は温まった雰囲気に。
ここでリンゴがステージ後方へのステップを上がりドラム・セットに就くと、最初のオール・スター・バンド・メンバーのソロ・パートがスタート。リンゴからの紹介を受けてまずはグレッグ・ローリー(Key./Vo.)がサンタナの「Evil Ways」(ウィリー・ボボのカヴァー)を。今回の参加メンバー5人~G.ローリー、スティーヴ・ルカサー(G./Vo.)、ヘイミッシュ・スチュワート(B./G./Vo.)、コリン・ヘイ(G./Vo.)、ウォーレン・ハム(Sax./Perc./Vo.)~による分厚いコーラス・ワークとバンド・アンサンブルが見事で曲の終盤ではスティーヴの高速ギター・ソロが炸裂!その勢いのままスティーヴがTOTOの「Rosanna」を。彼は一カ月前にTOTOとしての日本公演を終えたばかりで短期間での再来日はファンとしては嬉しい限り!曲の終盤ではジャングル・ビートに乗せたジャム・セッション風なアレンジが施され、グレッグ、ウォーレン、スティーヴがそれぞれ見事なソロ・プレイを披露。早くも「本編ラスト」かのようなヒート・アップ振りにオーディエンスも大歓声で応えます。続いてスティーヴの紹介を受けてバトンはヘイミッシュへ。この2人がそれぞれベースとギターを持ち替えてヘイミッシュのヴォーカルによるアヴェレイジ・ホワイト・バンドの「Pick Up The Pieces」。70年代ホワイト・ファンク最高峰のナンバーをリンゴとグレッグによる重厚なダブル・ドラムで聴けるのはこのライヴならでは。続いてヘイミッシュからの紹介を受けてコリンがギター・リフを弾き始めるとウォーレンによる印象的なフルートの音色が。メン・アット・ワークの「Down Under」!コリンの80年代当時と変わらぬハイトーン・ヴォイスは鳥肌もの。ここまでの内容で次々と多様なナンバーを変わらぬテンションでプレイするオール・スター・バンドの素晴らしい演奏力にふと気が付いて、いたく感動。ライヴ序盤の7曲で早くも他のライヴの1公演分と同じくらいの満足感が。(笑)この豪華メンバーによるライヴは実に贅沢です。
ここで再びリンゴによるビートルズ・ナンバーのコーナーへ。「Boys」(ザ・シュレルズのカヴァー)、「Don't Pass Me By」と続いた後「次の曲はみんなが知ってるよ」と言って始まったのは「Day Tripper」か!?と思ったらイントロだけで終わる軽いジョークで。。。「違う、それじゃないよ」と笑いながら仕切り直しての「Yellow Submarine」。スティーヴのアコーステック・ギターが、のどかなムードに華を添えます。ここで一旦リンゴがステージから離れてメンバーによるソロ・パートが2曲。ヘイミッシュがアヴェレイジ・ホワイト・バンドの「Cut The Cake」、グレッグがサンタナの「Black Magic Woman/Gypsy Queen」(フリートウッド・マックとガボール・サボのカヴァー)を。「Gypsy~」の終盤では再びスティ-ヴの本家真っ青な高速フレーズの嵐によるギター・ソロに加えてグレッグもラテン・パーカッシヴなドラム・ソロで応戦。そしてリンゴが鮮やかな白いジャケットに着替えて再登場しライヴ後半の始まり。バンド・メンバーをひとりひとり紹介した後、ソロ作品から「You're Sixteen」(ジョニー・バネットのカヴァー)と「Anthem」の2曲を披露。「Anthem」では背景にピースマークが映し出され「平和と愛」を願うリンゴの強いメッセージが伝わって来ます。リンゴがドラム・セットに就いて再びメンバーのソロ・パートへ。まずはコリンによるメン・アット・ワークの「Overkill」。この曲でも圧巻のハイトーン・ヴォイスを聴かせたコリンに対して、曲が終わるとスティーヴから「俺のお気に入りの声」との賛辞が。そのスティーヴの「プリーズ・シング・アロング」というMCから曲はTOTOの「Africa」へ。メンバーの鉄壁なコーラス・ワークが際立つとともに、先のコリンのハイトーン・ヴォイスがこの名曲に見事にハマるという奇跡に大いに感動。今日何度目かのハイライトの後はヘイミッシュによるアヴェレイジ・ホワイト・バンドの「Work To Do」(アイズレー・ブラザーズのカヴァー)でクールダウンか?と思いきや、見事なファルセット・ヴォイスと切れ味溢れるカッティング・ギターで最高のグルーヴを体感。心躍るテンションのまま今度はグレッグが「オーラ!」(スペイン語の挨拶)と掛け声を放った後、サンタナの「Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)」(ティト・プエンテのカヴァー)へ。曲中では本領発揮と言える圧巻のキーボード・ソロを披露。そして終盤はサンタナ楽曲恒例と化したスティーヴによるギター・ソロ。とりわけこの曲でのチョーキングとアーミングを駆使した超絶プレイは彼が正真正銘のトップ・ギタリストであることを強く印象付けました。
そしてリンゴによるドラム&ヴォーカル曲「I Wanna Be Your Man」(ビートルズ)でR&Rモードにリセットされてライヴは終盤に突入。コリンによるメン・アット・ワークの「Who Can It Be Now(ノックは夜中に)」、スティーヴによるTOTOの「Hold The Line」が続けて披露された後、リンゴがドラム・セットを離れてステージ中央へ。曲は彼の温かな人柄と音楽性が最も表れたソロ代表曲「Photograph(想い出のフォトグラフ)」。ピースフルなイントロに全身が包まれて、同じ空間で同じ時間を「リンゴ・スター」と過ごせている幸福感がピークに達し目頭が熱くなります。続くザ・ビートルスの「Act Naturally」(バック・オーウェンスのカヴァー)でも彼独特の左右交互にハッピーにステップを踏むあの姿は変わらず、セット・リストは遂にザ・ビートルス時代のリード・ヴォーカル代表曲「With a Little Help From My Friends」へと進行。立ち上がって大きな手拍子を贈りながら歌うオーディエンスにリンゴもジャンプしながらの手拍子とWピース・サインで応えます。エンディングでのリフレインの後「サンキュー!グッドナ~イト!!」と軽快な足取りでステージ袖へ帰ったと思いきや。なんとバンドの演奏が突然「Give Peace A Chance(平和を我らに)」へと切り替わるとリンゴが駆け足でステージに戻ってきたではないですか!再びリンゴが両手を挙げてピース・サインをすると会場中がピース・サインで溢れる美しい光景となって、また目頭が熱くなりました。やがてバンド・メンバーを残してリンゴが先にステージを去り、追って演奏を終えたオール・スター・バンドの面々がステージ上に一列に並んでオーディエンスにおじぎをして全てが終了。全24曲・2時間ノンストップのライヴは終始「Peace&Love」な雰囲気で満ち溢れ、素晴らしい楽曲と演奏が凝縮された濃密なステージでした。この言葉に出来ない「感動」はその場で体験しないとわからないもの!さあ、あなたも是非会場へ!!
リンゴ・スター アンド・ヒズ・オール・スター・バンド 2019年3月27日 福岡サンパレス Matchbox (The Beatles) It Don't Come Easy (Ringo Starr) What Goes On (The Beatles) Evil Ways (Santana - Gregg Rolie) Rossana (TOTO - Steve Lukather) Pick Up The Pieces (Average White Band - Hamish Stuart) Down Under (Men At Work - Colin Hay) Boys (The Beatles) Don't Pass Me By (The Beatles) Yellow Submarine (The Beatles) Cut The Cake (Average White Band - Hamish Stuart) Black Magic Woman / Gypsy Queen (Santana - Gregg Rolie) You're Sixteen (Ringo Starr) Anthem (Ringo Starr) Overkill (Men At Work - Colin Hay) Africa (TOTO - Steve Lukather) Work To Do (The Isley Brothers - Hamish Stuart) Oye como va (Santana - Gregg Rolie) I Wanna Be Your Man (The Beatles) Who Can It Be Now? (Men At Work - Colin Hay) Hold the Line (TOTO - Steve Lukather) Photograph (Ringo Starr) Act Naturally (The Beatles) With a Little Help From My Friends (The Beatles)
Thanks! ウドー音楽事務所
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