1971年8月1日、ライヴ・エイドが開催される14年前のこと、ジョージ・ハリスンは、友人であり、師であるラヴィ・シャンカールと、そしてその他の多くのスター達と共に、それまで成し遂げられたことのない、あるいは試みられたことすらなかった何かを成功させた。つまり、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで2度に渡って開催されたチャリティ公演「The Concert for Bangladesh」(バングラデシュ・コンサート)である。
バングラデシュ・コンサート昼の部 ニューヨークでのリハーサルを経て、8月1日、マンハッタンに集まった4万人以上の観衆を前に、午後2時30分と夜8時の2回に渡って開催されたこのコンサート。観客はエリック・クラプトン、ボブ・ディラン、シャンカール、レオン・ラッセル、リンゴ・スター、ヒンドゥスタン人音楽家のアリ・アクバル・カーン、ビリー・プレストン、クラウス・フォアマン、ボビー・ウィットロック、ドン・プレストン、ジェシー・エド・デイヴィス、カール・レイドル、そして アップル所属バンドのバッドフィンガーらを含む、錚々たる出演者の演奏に酔いしれた。この日のコンサートは、本アルバム同様、ラヴィ・シャンカールと、サロード奏者アリ・アクバール・カーン、タブラ奏者アラ・ラカ、そしてタンブーラ奏者カマラ・チャクラバーティによる「Bangla Dhun」で幕を開けた。それに続いたのが、ジョージに加え、リンゴ、(体調不良の)エリック・クラプトン、レオン・ラッセル、ビリー・プレストン、クラウス・フォアマン、ジム・ケルトナーを始め、その他18人のミュージシャン達だ。そこで繰り広げられたのは、「Wah-Wah」「Something」「Awaiting on You All」や、ビリー・プレストンが歌う「That's The Way God Planned It」、リンゴの「It Don't Come Easy(明日への願い)」、「Beware of Darkness」、そしてジョージとエリック・クラプトンが共演した「While My Guitar Gently Weeps」。 レオン・ラッセルはセンター・ステージに立ち、ローリング・ストーンズの「Jumpin' Jack Flash」と、コースターズの「Young Blood」のメドレーを披露した。
ボブ・ディランの登場 それからジョージは、2人目のアコースティック・ギターにバッドフィンガーのピート・ハム、そしてドン・ニックスのゴスペル合唱団を従えて、「Here Comes The Sun」を熱唱。 そして白のフェンダー・ストラトキャスターに持ち替えたジョージは、ギターのボディにテープで貼り付けたセットリストに書かれている「ボブ?」という文字に目を遣った。ジョージは次のように語っている。「見回すと、彼(ボブ)はすごく緊張していた。彼はギターを掛け、サングラスをしていた。気合を入れようとしているのか、こう(腕と肩を激しく上げ下げする動作を)やっていたんだ。彼はやってくれるとようやく確信できたのは、その瞬間のことだったよ」。聴衆は、驚きのあまり一瞬静まり返った後、狂喜に湧き返った。ボブ・ディランがアメリカの観客の前に姿を現したのは、5年ぶりのことだったからだ。ディランのミニ・セットでバックを務めたのは、ジョージ・ハリスンに、レオン・ラッセル(弾いていたのはフォアマンのベース)、そしてリンゴ・スターがタンバリンを担当した。 ディランは以下の5曲を披露した。
A Hard Rain's A-Gonna Fall Blowin' in the Wind It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry Love Minus Zero/No Limit Just Like A Woman
その後、ジョージがバンドと再登場し、「Hear Me Lord」「My Sweet Lord」そして「Bangla Desh」を聴かせた。
夜の公演 昼の公演を上回る内容だったと広く考えられている夜の公演では、演奏された曲や曲順が昼の部とは若干異なっている。 ジョージのミニ・セットは「Wah-Wah」で幕を開け、その次に「My Sweet Lord」を先に披露。 続いて「Awaiting on You All」、続いてビリー・プレストンが「That's The Way God Planned it」を歌った。夜の部では「Hear Me Lord」が曲目から外されたため、ディラン出演後のセットは「Something」と「Bangla Desh」のみになっている。 ディランも自身のセットで曲目を少し入れ替え、「Love Minus Zero/No Limit」の代わりに「Mr. Tambourine Man」が演奏された。コンサート音源のミキシングは、ロサンゼルスのA&Mスタジオで9月に行われた。アルバムでは昼夜両公演の音源が使用されているが、より評価が高かった夜の部の方が優先され、全体の中心を成している。 昼公演の音源が用いられているのは、冒頭は夜公演ヴァージョンで始まるものの途中から昼公演に飛んでいる「Wah-Wah」の他、ジョージの「Band Introduction」「While My Guitar Gently Weeps」、そしてレオン・ラッセルによるメドレーだ。本アルバムの3枚組LPボックスセットは米国では1971年12月20日、英国では1972年1月10日に発売された。 米ビルボード誌8月14日号は「ハリスン&フレンズがパキスタン支援のためのコンサートで大盤振る舞い」という見出しで、次のようなニュース記事を掲載している。「ここで披露された音楽のほぼ全てが、困窮する国に支援の手を差し伸べるため自身の時間と多大な努力とを無償で提供した、各ミュージシャンの心情を代弁していた」。本作は1972年1月8日に全米チャート入りを果たし、惜しくも首位は逃したものの、6週間に渡って2位の座を守り続けた。 英国ではリリースから3週間後に、全英チャート首位に上り詰めている。 バングラデシュの飢餓救済のための資金を募ったこのイベントを通じ、推定25万ドル(現在の価値にして約150万ドル)が集まった。 このコンサートの模様は2005年にDVDとしてリリースされ、その純益は(アルバム同様)、現在、ユニセフ・ジョージ・ハリスン基金と命名された基金を通じて寄付が続けられている。2006年、オリヴィア・ハリスンは、このコンサートの35周年を記念して行われたマディソン・スクエア・ガーデンでの式典に出席。同アリーナの殿堂(ウォーク・オブ・フェイム)に常設されている記念銘板の除幕を行った。今日では、アーティストが慈善コンサートやチャリティ・シングル/アルバムなど、様々な方法で支援活動を行うことが当たり前のようになっている。人々がそのような形で自身の名声を活用するのは素晴らしいことだ。しかし、ジョージは時代を遥かに先取りしていた。彼の人道的な活動は画期的であり、後に続いた多くの人々にインスピレーションを与えている。ジョージ・ハリスンは真の人道主義者であったのだ。
7月29日(英国時間)、ファッションモデルのケイト・モスが英 BBC Radio 4 の名物番組Desert Island Discsに出演し、無人島に持っていくレコード(無人島レコード)の一つにジョージ・ハリスンの名曲「マイ・スウィート・ロード」を選び、ジョージとの逸話を語った。番組はゲストに「無人島に持っていくとしたら、どういう曲や本、贅沢品を選びますか?」と質問するもので、ケイト・モスは下記の8曲と、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの「星の王子さま」、カミヤのブランケットを選んだ。ケイトはジョージ・ハリスンとの逸話として、女優/モデルのアニタ・パレンバーグやマリアンヌ・フェイスフルと一緒にショッピングに出かけ、最後のクリスマス・プレゼントを買っていた時、突然店の窓越しにジョージを見つけた時の話をしている。「彼は店から出てきて「君はケイト・モスなのかい?」と言ったのよ。私は「ええ、そうよ。あなたはジョージ・ハリスン?」と答えると、「入って、入って、クリスマスプレゼントを贈りたいんだ」と言いました。彼はこれを私に買ってくれようとしたんだけど...まあ、貰えばよかったんだけど、とても嫌だったので、どうしても貰うことができなかったのよ。このセーターはジョージ・ハリスンからのセーターになるはずだったのよ。ケーブル編みのバットウィングピンクのセーターだったんだけど、(ジョージに)そんなものを買ってもらうわけにはいかないわと思ったのよ。だって、彼のことがとても好きだったから」。又、ケイトは「マイ・スウィート・ロード」について、「この曲は彼が亡くなった週に再リリースされたんだけど、私は涙が止まらなかったわ。すすり泣いたのよ。私、どうしちゃったんだろうって動揺したんだけど、涙が止まらなくて、そのあと、ライラを妊娠していることがわかったのよ。だからこれは彼女との、そしてジョージのための曲なのよ」と語っている。ケイト・モスが選んだ無人島レコードは以下のとおり。
My Sweet Lord / George Harrison Back to Life by Sunday Service and Jazzie B (Soul II Soul mix) A Whiter Shade of Pale (Live) / King Curtis Harvest Moon / Neil Young Life on Mars / David Bowie Oh! Sweet Nuthin' / The Velvet Underground Sympathy for the Devil / The Rolling Stones Madame George / Van Morrison
Official Video Chart Top 100 (2022/7/24付) This Last Week Week Title / Artist 1 (new) Doctor Strange In The Multiverse Of 2 (new) The Northman 3 (2) The Batman 4 (new) Daleks' Invasion Earth 2150 AD 5 (new) Red Sonja 26 (new) Drive My Car 29 (1) Get Back / Beatles
Official Blu-Ray Chart Top 100 (2022/7/24付) This Last Week Week Title / Artist 1 (new) Doctor Strange In The Multiverse Of 2 (new) The Northman 3 (re) Daleks' Invasion Earth 2150 AD 4 (new) Red Sonja 5 (re) Tenebrae 11 (1) Get Back / Beatles 12 (new) Drive My Car
Official DVD Chart Top 100 (2022/7/24付) This Last Week Week Title / Artist 1 (new) Doctor Strange In The Multiverse Of 2 (new) The Northman 3 (1) Operation Mincemeat 4 (2) The Batman 5 (3) Morbius 42 (new) Drive My Car
Official Music Video Chart Top 50 (2022/7/24付) This Last Week Week Title / Artist 1 (1) Get Back / Beatles 2 (3) The Searcher / Elvis Presley 3 (4) The Boys Are Back In Town ‐ LIVE / Songs / Phil Lynott & Thin Lizzy 4 (7) Eight Days A Week - The Touring Years / Beatles 5 (2) Eurovision Song Contest ‐ Turin 2022 / Various Artists
Official Irish Video Chart Top 50 (2022/7/22付) This Last Week Week Title / Artist 1 (new) Doctor Strange In The Multiverse Of 2 (new) The Northman 3 (1) The Batman 4 (4) The Bad Guys 5 (3) Morbius 14 (2) Get Back / Beatles