つれづれなるままにWINGSFAN
Tribute Vlog for Paul McCartney & Wings
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Author:wingsfan

ポール・マッカートニー&ウイングス
のトリビュート LIVE フェスティバル
WINGSFAN をプロデュースしてい
ます。このブログは私が日常生活
の中で興味を持ったことやウイン
グスや WINGSFAN などに関する
情報などを毎日掲載しています。 

wingsfan@wingsfan.net


オリコン 週間ランキング EMIスタジオ・セッションズ 1967 vol.5
EMIスタジオ・セッションズ 1967 vol.5

ビートルズのアルバム EMIスタジオ・セッションズ 1967 vol.5 発売2週目の週間ランキングです。

アルバム 週間ランキング (2022/10/10付)
This Last
Week Week Title / Artist
1 (1) Snow Labo. S2 / Snow Man 3万6269枚
2 (2) 2Baddies:NCT 127 Vol.4 / NCT 127 3万3598枚
3 (new) BEYOOOOO2NDS / BEYOOOOONDS 2万5320枚
4 (6) ウタの歌 ONE PIECE FILM RED / Ado 9575枚
5 (new) 『ウマ娘 プリティーダービー』WINNING LIVE 08 7989枚
※前週97位だった EMIスタジオ・セッションズ 1967 vol.5 / ザ・ビートルズ はチャート圏(300位)外
※ランキングは国内盤と輸入盤を合算集計したもの。

ROCKアルバム 週間ランキング (2022/10/10付)
This Last
Week Week Title / Artist
1 (new) ジ・エンド、ソー・ファー / スリップノット 5056枚
2 (4) Luxury Disease / ONE OK ROCK 2805枚
3 (1) BLOODIEST / 聖飢魔II 1652枚
4 (new) THE JUDGEMENT / JAM Project 1320枚
5 (7) Highway X / B'z 1029枚
※前週17位だった EMIスタジオ・セッションズ 1967 vol.5 / ザ・ビートルズ はチャート圏(20位)外

洋楽アルバム 週間ランキング (2022/10/10付)
This Last
Week Week Title / Artist
1 (1) 2Baddies:NCT 127 Vol.4 / NCT 127 3万3598枚
2 (new) ジ・エンド、ソー・ファー / スリップノット 5056枚
3 (new) BORN PINK / BLACKPINK 4086枚
4 (6) SEVENTEEN 4th Album「Face the Sun」 / SEVENTEEN 1891枚
5 (8) SEVENTEEN 4th Album Repackage 「SECTOR 17」 / SEVENTEEN 1569枚
※前週29位だった EMIスタジオ・セッションズ 1967 vol.5 / ザ・ビートルズ はチャート圏(30位)外

ザ・ビートルズ:Get Back Blu-ray コレクターズ・セット

映画 DVD 週間ランキング (2022/10/10付)
This Last
Week Week Title / Artist
1 (new) 機界戦隊ゼンカイジャー VS キラメイジャー VS センパイジャー
2 (1) ワイルド・スピード/ジェットブレイク
3 (new) ハケンアニメ!
4 (new) 機界戦隊ゼンカイジャー VS キラメイジャー VS センパイジャー スペシャル版
5 (2) トップガン スペシャル・エディション
19 (re) ザ・ビートルズ:Get Back DVDコレクターズ・セット

Thanks! ORICON STYLE

英ロック全盛期を激写した日本人 写真集にまとめる
浅沼ワタル

1970年代の英ロンドンで、英ロック全盛期のキラ星のようなスターたちを撮り続けた日本人写真家がいる。浅沼ワタル、76歳。ポール・マッカートニーをはじめ、クイーン、レッド・ツェッペリン、デビッド・ボウイ、ポリスらにカメラを向け、時には酒を飲み交わした。今月、その業績をまとめた写真集を出版した。浅沼は日本で広告写真を撮っていたが、71年に恋人ともに渡英。その恋人を通じてビートルズの専属写真家だったデゾ・ホフマンのアシスタントになり、ロックの世界に踏み込んだ。日本人は珍しがられたが「有名なホフマンのアシスタントだったし、皆、僕のニコンに興味津々だったから、周りから親切にされた」と笑う。日本のレコード会社から仕事が舞い込むようになり、ほどなくロック写真家として独り立ちした。浅沼が最も長期に渡って仕事をしたのは4人組バンドのクイーン。昨年、「クイーン 輝ける日々の記憶 浅沼ワタル写真集」を出したほどだ。代表曲「ボヘミアン・ラプソディ」を含むアルバム「オペラ座の夜」の制作過程に密着した際、カメラに興味があったギターのブライアン・メイと電話番号を交換。それ以来、バンドから直接仕事の依頼が来るようになった。英米ではなかなか芽が出なかったクイーンだが、75年に訪れた日本でビートルズ並みの熱烈な歓迎を受け感激する。「だから、日本人である僕に仕事をくれたんじゃないかな」。コンサートツアーではクイーンは浅沼を同じホテルに泊め、食事もともにした。また、ボーカルのフレディ・マーキュリーはステージ下で撮影している浅沼を見つけると必ず近寄ってきてポーズをとった。「今撮れという合図。僕が彼を撮っているというより、彼に撮らされていたんだろうな。彼は終演後、必ず「良い写真が撮れたか?」と聞いてくれた」。浅沼が生涯で最も気に入っている写真は、そうやって撮ったマーキュリーの1枚だという。

クイーン

4人組バンド、レッド・ツェッペリンについては、彼らが74年に洞窟の中で催した奇妙なハロウィンパーティーの模様も写真に収めた。このハードロックの雄はパーティー会場や宿泊先のホテルでの悪行、乱行で知られるが、浅沼は「いや、彼らはすごく静かだった。僕とバンドの4人を含む7人で飲んだこともあるけど、やはり静かだったな」と話す。「流布されているイメージと違っている人が多かった。素顔は皆気さく」とも言う。パンクロックを代表する4人組バンド、セックス・ピストルズのボーカリスト、ジョニー・ライドンは「頭もいいし、言葉もきれいだし、好青年だった。オーディオが趣味で、僕も興味があったから意気投合した」。反対に「怖かった」と振り返るのは、そのピストルズの2代目ベース奏者、シド・ビシャス。破滅的な生き方でパンクのシンボル的な存在とされるが、78年に恋人のナンシー・スパンゲンとともに自宅で撮影に応じた。2人とも薬物使用により正常な状態ではなかった。スパンゲンは浅沼がビシャスだけ狙って撮っているのに気づき、「あのカメラマン、あんたしか撮ってないわよ!」と叫んだ。「お前! 2人を撮れ」とビシャスがすごんだ。「薬物のせいで言葉がきついんですよ」。そうかと思えば「一緒に食事に行こう」と電話でレストランの予約を始める。ビシャスとスパンゲンはこの撮影のしばらく後に相次ぎこの世を去った。アイルランドの4人組バンド、U2のボーカリスト、ボノは写真撮影を嫌っててこずった。そこで浅沼はU2がポリスのコンサートに前座として出演した際、ステージ袖からボノを〝盗み撮り〟した。浅沼はポリスのボーカリストでベース奏者のスティングとは大の仲良しなので、さしものボノも文句が言えなかったという。マッカートニー夫妻は、亡くなったリンダ夫人が写真家で、すぐに親しくなった。リンダは浅沼を見つけると「今、旦那を連れてくるわね」とポールの腕を引っ張ってきてくれた。「ポールのことを旦那(マイ・ハズバンド)って呼んでいたね。ポールは、ステージから僕を見つけると「オッス」って手を振ってくれた」。

ウイングス

ギターの神様、エリック・クラプトンの名盤「スローハンド」の有名なジャケットは浅沼の写真を加工してデザインされた。ロック黄金期をロンドンで過ごした浅沼だが、83年、「息子の日本語教育のために」と拠点を日本に移した。今も現役の写真家だが、昨年クイーンの写真集を出すまで、自身の写真をまとめたことはなかった。「僕の前にいる人(被写体)がすごいわけで、僕自身は何でもない。人前に出たりしたら、彼らから「お前、なんか勘違いしているんじゃないか」って叱られそうでね」。だが、クイーンの写真集を企画、出版したシンコーミュージック・エンタテイメントの担当者が貴重な写真が手つかずなのを知り、今月5日、浅沼の業績全体に焦点を当てた写真集「ザ・ゴールデン・イヤーズ・オブ・ブリティッシュ・ロック 浅沼ワタル写真集」を出した。約90組280点の英ロックスターの写真を収めた。これだけ撮って、アーティストから写真をほめられた記憶はないという。「だって、彼らは僕の写真なんか見たこともないんじゃない? でも、仕事をくれたレコード会社や出版社の人が「よく撮れてますね」と言ってくれたらそれでいい。僕はね、芸術的な写真家じゃなくて〝写真屋〟だから」。写真集発売に合わせて、写真展を開催中。30日までジュンク堂書店池袋本店9階ギャラリースペース(東京)、11月19日から来年1月9日まで紀伊國屋書店グランフロント大阪店。無料。展示作品の販売も行う。

浅沼ワタル

Thanks! 産経新聞

「リボルバー」が生まれ変わる スペシャル・エディションの全貌を徹底解説
ビートルズが1966年に発表した名盤「リボルバー」が数々の未発表音源を加えたスペシャル・エディションとして10月28日にリリースされる。そのリリースに先駆けて、気になる中身をここで紹介しよう。

『リボルバー』スペシャル・エディション

1966年夏、ビートルズの「リボルバー」がリリースされた。時代の先をゆく作品で、今なお私たちは追い付けていない。マッシュルームカットの青年たちは、かつてのイメージを完全に脱ぎ捨てて、超高速で変異しようとしていた。ポール・マッカートニーはアバンギャルドのアートと音楽を追求し、ジョン・レノンは「The Tibetan Book of the Dead」を愛読している。ジョージ・ハリスンはインドの弦楽器シタールの弾き方を学び、インドの神秘主義にのめり込んだ。リンゴ・スターはといえば、自宅の地下にパブを作った。世界中、そして彼ら自身にも衝撃を与える最高傑作を世に出す準備は万端だった。「リボルバー」は事あるごとにビートルズだけでなく全てのアーティストの作品までを含めて、史上最高のアルバムと評されている。ただし、作品の本当の姿はまだ誰も耳にしていない。2022年、これまで私たちが聴いていたものとは全く異なる「リボルバー」が登場する。ビートルズが「ホーム」としていたロンドンの伝説的なアビイ・ロード・スタジオで、ローリングストーン誌は新生「リボルバー」の1曲1曲を夏の数日間をかけて独占的に堪能した。ビートルズの魔法を実現したジョージ・マーティンの息子で、同じくプロデューサーのジャイルズ・マーティンが当時のセッションの未発表アウトテイクや最高に実験的なアルバムの新たなミックス・バージョンを聴かせてくれた。サイケデリア、室内楽、インド音楽のラーガ(旋律)、メンフィス・ソウルを取り込み、自分たちを真っ白な状態にしてゼロから作り上げた作品だ。ジャイルズ・マーティン曰く、「リボルバー」は1曲聴くごとに「これぞビートルズが目指したかった方向だ」というのが見えた気になるという。「ところが毎回、こちらの理解が打ち砕かれてしまう。ビートルズは全員が同じゾーンにいて、新たな段階へと進んでいる。一方で4人にはそれぞれの個性があり、様々なスタイルで同じ波に乗ろうとしている。その集大成が「リボルバー」だ。“お前は何を持ってきた? どんな感じか聴かせてみろよ。俺の方がもっと上を行けるぜ”という会話が聞こえてきそうだ」。「リボルバー」には新鮮なサプライズが詰まっている。例えば「Yellow Submarine」が元々は最もエモーショナルな楽曲だったとは誰も想像しないだろう。誰もがリンゴ・スターに歌わせるために書いた子供向けの曲だと思っているに違いない。しかし、ジョン・レノンの自宅で録ったデモはプラスティック・オノ・バンド的な哀愁漂うアコースティックのバラードだった。ジョンが奏でる寂しげなメロディーから、世界の子供たちが好んで口ずさむリンゴのヒット曲へと書き換えられたのだ。「リボルバー」というアルバムの特徴がここに集約されている。ほんのわずかな曲のアイディアに数々の進化を加え、最終的に完璧なまでの曲として仕上げられるのはビートルズしかいない。「リボルバー」のスペシャル・エディションは10月28日にリリースされる。ここ数年、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」「ザ・ビートルズ」「アビイ・ロード」「レット・イット・ビー」にドキュメンタリー作品「ザ・ビートルズ:Get Back」と、ビートルズを再認識させるデラックス・エディションが次々とリリースされている。そして「リボルバー」から「Taxman」のステレオ&ドルビー・アトモス・ミックス・バージョンが9月7日に先行配信された。ピーター・ジャクソンのチームが「ザ・ビートルズ:Get Back」向けに開発した「デミックス」音響テクノロジーを利用した迫力あるサウンドに仕上がっている。「リボルバー」のスペシャル・エディションにはオリジナル・アルバムのステレオ/モノ、ドルビー・アトモスの各バージョンに、セッションのアウトテイクを加えた全63曲がCD5枚とLP4枚に収録される。さらに「リボルバー」と同時期にリリースされたシングル「Paperback Writer / Rain」の別バージョンを両面にそれぞれ収録した7インチEPも付属する。また、100ページのハードカバー・ブックも付き、写真の他にマッカートニー(“全体的に見て、悪くないアルバムだ”)、ジャイルズ・マーティン、ジャケット・デザインを担当したクラウス・フォアマン、ヒップホップのレジェンドであるクエストラヴ、ビートルズ研究家のケヴィン・ハウレットによるエッセイが盛り込まれている。一方のスタンダード・エディションはオリジナルの14曲入りアルバムをCD/LP/デジタルの各バージョンで提供される。

リボルバー - ビートルズ

「リボルバー」に見る、ビートルズの自信と成長
4人は気付いていなかっただろうが「リボルバー」にはビートルズの自信がみなぎっている。また、彼らのライバル意識も絶頂にあった。1996年6月、まだ新曲「Tomorrow Never Knows」が世に出る前にポールは NME 誌のインタビューで「僕としては(I, for one)“どこかで聴いたことのある曲だ”と言われることにうんざりしていた。だから俺たちは今回のアルバムを作ったのさ」と語った(“僕としては”という表現にポールらしさが出ている)。4人の友情は不思議なほどに深まっていた。彼らに特有の波長があり、周囲の人々が入り込めないほどだった。しかし、彼らの実験的なチャレンジ精神は周囲にも伝わっていた。当時18歳だったエンジニアのジェフ・エメリックはリンゴのバスドラムにセーターを詰め込んでサウンドを変えた。またプロデューサーのジョージ・マーティンは今日は「Taxman」、明日は「Eleanor Rigby」、またこの日は「Love You To」というようにスタジオでのレコーディング・スケジュールを1日単位で設定した。「リボルバー」の音楽全般において4人の成長が見られる。ジャイルズ・マーティンは言う。「ポールと一緒にアルバムの曲をチェックしている時に、彼が“4人の個性がコラボした作品だ”と言った。ビートルマニアも驚きだ。かつてザ・クラッシュの連中は“にわかビートルマニアは卒倒した”と表現した。「リボルバー」におけるビートルズは、もはや4頭の獣ではない。それぞれが異なるスタイルを持ちながらも、彼らが何をしようがビートルズはビートルズだった。ビートルズ以外の世界など考えもしなかった。彼らの中に女性がいなくても、まるで4人は恋人同士のように親密だった。一緒にベッドに入り、ずっとそのまま眠っていたいと願っている。ツアーを終えた彼らは素晴らしいレコードを作ることに専念したいと考えていた」。マーティンは映画「ザ・ビートルズ:Get Back」の時期から4人のムードが急激に変わったと考えている。「「ザ・ビートルズ:Get Back」を仕上げた後で「リボルバー」のアウトテイクを聴いた。“本当に楽しい”と思った。「ザ・ビートルズ:Get Back」でのビートルズは懸命に新鮮な空気を求めてもがいている。一方で「リボルバー」の彼らは完全に自然体で、意欲も全く途切れることがない。崩壊後のビジョンなど全く見えない。喧嘩別れして再び仲直りするのは、まだ先の話で、まだ誰もバンドを去っていない時期だった」。アウトテイクでは、曲のタイトルが浮かばずにいつまでも考え込んでいるジョージ・ハリスンについて、他のメンバーが言い争う様子が聴ける。「それでも、この時の言い争いはフレンドリーだった。数年後の口論とは違った」とマーティンは言う。「りんご(Apple)はまだ、腐っていなかった」。また、ビートルズがツアーの日々に終止符を打った時期でもあった。「ツアーのフラストレーションが、どれほど「リボルバー」に反映されていると思う?」とマーティンは問いかける。「彼らは熱狂するビートルマニアから逃れ、“できるだけ遠くにある別の世界を探しに行こう”と言ってスタジオに籠もった。だから、ジョンは“Tomorrow Never Knows”を山頂で歌いたいなどと言い出したのさ。ステージからできるだけ離れた遠い場所に行きたかったんだろうね」。4人はやっつけ仕事のコンサートにうんざりしていた。ステージ上では自分たちの新しい音楽を探求する余地などなかった。1966年夏に行った彼らの最後となる米国ツアーは混乱と抗議活動に苦しめられた(メンフィスのコンサート会場周辺で行われたクー・クラックス・クランによる集会には8000人が集まった)。一連の出来事がメンバーをアビイ・ロード・スタジオへと向かわせるきっかけになったとマーティンは考えている。「スタジオこそが彼らの避難場所だった」と彼は言う。「ビートルマニアのテンションがますます過激になり、1966年に起きたあらゆる事件のせいだったと思う。彼らはいわば、炭酸飲料(pop)のボトルに入ったポップ・バンドだ。彼らは外部の世界によって振り回された。炭酸が泡立って、キャップが吹き飛びそうな状態だ。外の世界はカオスだった。彼らには逃げ場が必要だった。ここ(アビイ・ロード・スタジオ)の外側は彼らにとって脅威になっていたのだと思う。スタジオこそが彼らがゆっくり過ごせる聖域だったのだ。彼らは「サージェント・ペパーズ」には「リボルバー」の2倍の時間をかけてレコーディングした」。

ビートルズ

「デミックス」の驚異的サウンド、アートワーク制作秘話
ジャイルズ・マーティンとサム・オケルによる新たなミックスは「デミックス」テクノロジーのおかげで、過去のデラックス・エディションに勝る完成度となった。同テクノロジーはピーター・ジャクソンのウィングナット・フィルムズ・プロダクション所属のエミール・デ・ラ・レイ率いる音響チームによって開発された。元々は映画「ザ・ビートルズ:Get Back」のために開発された技術で、オリジナルのフィルム映像に収録された不明瞭な音声から、メンバーそれぞれの声を分離させることができた。騒々しいカフェテリアで、ジョンとポールがジョージについて感情的に話し合うシーンを覚えているだろうか? 植木鉢に仕込まれたマイクで録音された音声からでも、2人の声がはっきりと聞き取れる。リンゴ・スターのドラムキットにも同じ技術を採用した。驚くべきサウンドだ。マーティンが解説する。「ピーター・ジャクソンのチームが実現した音に匹敵するものは今までになかった。もったいないことに門外不出の技術だ。そのうち他人にも使わせるかもしれない。でもピーターはビートルズの大ファンだから、喜んで手を貸してくれた。ビートルズが今なお最先端テクノロジーを使っているというのは、ある意味画期的で嬉しいことだ。(ピーターの技術を)例えて言うなら、もらったケーキを持ち帰り、ケーキミックスの痕跡を全く残さない状態で、小麦粉、卵、砂糖といった元の材料の形に戻して、1時間後に戻ってくるようなものだ」。例えば「Taxman」はドラム、ベース、リズムギターを全て1トラックにレコーディングしたことで知られている。デミックス・テクノロジーのおかげで、リンゴのバスドラム、タム、ハイハットなど一つ一つを別のトラックに分離できるようになった。もちろん、何かを加えたり改ざんしたりする訳ではない。しかし、4人のスタジオでの演奏や歌が、より細かく明瞭に聴こえるようになった。「For No One」のアコースティックギターから「Here, There, and Everywhere」の指を鳴らす音まで、ミックスの過程で埋もれてしまった音が鮮やかによみがえる。同梱のブックに掲載されたクエストラヴによるエッセイも素晴らしい。彼はファンク、ラップ、ソウルといったアフリカン・アメリカン音楽に使われるコール・アンド・レスポンスの中にビートルズを見出した。初めてビートルズのアルバムを聴いた時、スペシャル・エドやア・トライブ・コールド・クエストがサンプリングしていたビートに気付いた彼は、ビートルズとヒップポップの魅力的なつながりにのめり込んで行った。「Taxman」の全体的に流れるメッセージは「Fuck the Police」(N.W.A.)に通じるものがあるとクエストラヴは言う。ビートルズのクリエイティブな精神は「リボルバー」の細部に至るまで発揮されている。ジャケットのデザインはバンドのハンブルク時代からの旧友クラウス・フォアマンが担当した。今回のアルバム同梱のブックには彼のグラフィック・ノベル「birth of an icon: REVOLVER」の一部が引用されている。「彼らからは具体的な指示が何もなかった」とミュンヘンにいるフォアマンがローリングストーン誌からの電話インタビューに答えてくれた。バンドからは「クラウス、スタジオへ来て音楽を聴いて、思い付いたままを形にしてくれ」と依頼されたという。当然ながら、彼は戸惑った。「「ラバー・ソウル」は本当にすごいアルバムだった。ジャケットの写真も好きだった。でも“Tomorrow Never Knows”のシンバルの音や速度を上げたトラックやバッキング・ギター、それに鳥の羽ばたくようなサウンドに本当に引き込まれた。圧倒されてしまい、“いったいどんなジャケットにしたらいいんだ?”と考え込んだ。全く未知の世界へと大きく一歩踏み出すしかなかった」。しかし、フォアマンのジャケットは見事に期待に応えた。彼はメンバーに「家のタンスの中にしまってある写真を持ってきてくれ。写りが良かろうが悪かろうが構わない。どんな写真でもOKだ」と頼んだ。フォアマンはまず、メンバーそれぞれの顔をスケッチしたイメージを配置した。さらに、ジョージの髪の間から覗くジョンの姿や、中世の騎士の格好をしたジョンが自分の耳の上に座る姿などを細かく描き込んだ。特にフォアマン自身はジョンの顔のデザインが気に入っている。「ジョンのアーモンド型の目がいい。それから鼻の形も印象的で、目を引く。彼の鼻はとにかく素晴らしいんだ!」。

Revolver - The Beatles

アルバム「リボルバー」スペシャル・エディションから、8つの印象的なシーンを紹介しよう。

「リボルバー」スペシャル・エディション 8つのハイライト

1. レイン (テイク5/アクチュアル・スピード)
この「Paperback Writer」のB面曲で聴かれる幻想的なサイケデリック・サウンドは、速度を上げて演奏したバッキングトラックの再生速度を落とすことで実現している。しかし、ステージ上の彼らがオリジナルの速度で演奏する姿には驚嘆するしかない。リンゴが1人でラモーンズ4人分の働きをしているのだ。ビートルマニアは「Rain」のドラムを聴くたびに絶賛する。リンゴ・スターはかつて「僕がいて、僕の演奏があって、そして“Rain”がある」と語っている。リンゴに拍手喝采を!

2. イエロー・サブマリン (ソングライティング・ワーク・テープ/パート1・2)
驚かないで聞いてほしい。「Yellow Submarine」に関してこれまで信じられてきたことは誤りだ。アンクル・リンゴが子ども受けするコーラスを歌い、ジョンが顔をしかめて我慢しつつ、手早く仕上げたポールの作品というのが一般的な認識だった。しかし、ジョンが歌う「Yellow Submarine」を聴いて自然と涙している自分に、ショックを受けないよう気を付けてほしい。本デモテープのバージョンはポールがコーラス(サビ)を担当しているが、ヴァースではジョンがフォークギターに乗せた悲しげなメロディを歌っている。“僕が生まれた場所では/みんな無関心で、誰も気にしない/僕が何という名前かも/誰も知らない、誰も気にしない”とジョンが歌う。ジョンが自宅のテープレコーダーで録音したデモ・バージョンは「Strawberry Fields Forever」と「Julia」の中間の時期にあたる、少年時代の思い出を歌っている。胸を締め付けられるようなバラードだ。「アウトテイクをチェックし始めるまで全く知らなかった。例によって、レノン=マッカートニーの共作ということになっていた」とマーティンは言う。彼はポールに「あなたが書いて、ボーカルをリンゴに託した作品だと思っていました。そしてジョンは“ああ、ひどいイエロー・サブマリンだ”という反応だったという認識でした」と聞いてみたという。ところが、マーティンの認識は全く違っていた。「どちらかと言えばウディ・ガスリー的だが、ある意味で美しい曲だ。この作品には、こんなにも奥深さがあったのだと実感させられる」とマーティンは言う。それでも、リンゴ・バージョンが存在しない世界など想像もつかない。「アウトテイクを聴いてみると、ジョンのバージョンの美しさを知ったところで、最終的にリンゴにボーカルを任せた理由が理解できる。現実的に正しい判断だったと言える」。

3. エリナー・リグビー (スピーチ・ビフォ・テイク2)
ジョージ・マーティンは「Eleanor Rigby」に参加するクラシック演奏家たちのリハーサルで、ポールとの間に入ってコミュニケーションを手伝っていた。弦楽器にビブラートさせるべきかどうか問われたポールはマーティンに決断を任せた。マーティンはビブラートをかけると楽曲の美しさを損なうと判断した。「ビブラートは使わないでくれ。何か言いたいことがある時にだけビブラートさせてくれ」と彼は言った。マーティン自身のプロデュース哲学を一行で見事に言い表している。彼は常に、意味のないものを付け加えるのを避けていた。「リボルバー」が素晴らしい作品になった理由がここにある。

4. ラヴ・ユー・トゥ (テイク7)
ジョージ・ハリスンによるシタールとタブラの演奏がポールの歌う繊細なメロディーと調和して、バンドに新たな一面が加わった。曲に軽快さが加わるも、「Love You To」のようなシンプルな楽曲に取り入れる難しさがわかる。苦労してハーモニー・パートを仕上げながらも、フィットしないと判断したら切り捨てる。ビートルズの音楽づくりに対するこだわりが見える。

5. フォー・ノー・ワン (テイク10/バッキング・トラック)
「じゃあ、俺は何もせずに普通に叩いていればいいのか?」と問いかけるリンゴに対して、「そういう意味じゃない。やってくれ!」とポールが言い返す。「リボルバー」のクリエイティブ・ミッションの全体像を象徴するシーンだ。最後に残った2人のビートル・ブラザーズが奏でるピアノとドラムのデュエットは誰もが想像する通り、心にガツンと来る。

6. アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー (スピーチ&テイク4)
ジョージは曲のタイトルを決めるのに四苦八苦する傾向にあった。「Love You To」の曲が出来上がった時も最後まで「グラニー・スミス(りんごの品種)」と呼び、正式なタイトルを決められずにいた。「I Want to Tell You」は間違いなくジョージの傑作のひとつだ。曲のフックの部分でジョージは“I want to tell you”と繰り返す。誰が聴いても、そのままタイトルにすべきなのは明らかだった(ジョージは後に、同様の流れで曲に「I've Got a Feeling」とタイトルを付けたポールを鼻で笑うような人間だ)。マーティンが「ジョージ、タイトルはどうする?」と聞くと、ジョージ以外のメンバーは大爆笑だった。ジョンは「グラニー・スミス・パート2だろ!」とからかった。いつも社交家のリンゴは「“Tell You”はどうだい。いいだろう」と思わずヒントを出した。計り知れない忍耐力を持った汝の名はリンゴ。

7. ヒア・ザア・アンド・エヴリホエア (テイク6)
ポールが他のメンバーの息づかいが聴こえるコーラス抜きの、ギター一本で永遠の愛を歌っている。ポールがルーズに即興で歌う「Here, There and Everywhere」こそが、ポールのバラードの中でも秀逸だ。これを超えるものはない。

8. アンド・ユア・バード・キャン・シング (ファースト・ヴァージョン/テイク2/ギグリング)
ジョンはこの皮肉めいたソウルフルな名曲を軽視することが多かった。曲の中で彼自身が丸裸にされるのを恐れた時にジョンがよく取った典型的な行動だ。アルバム「アンソロジー2」に収録された「くすくす笑い」テイクは既に好評だったが、今回はデュエット・ボーカルの別バージョンに加えて、ヘッドホンをしたジョンとポールが顔を突き合わせて笑いを止めらない144秒間が収録されている。自分がその場にいて、デュエットの片方を担当する時の喜びを想像できるだろうか。そこに、今回のスペシャル・エディションを楽しむための鍵がある。

ビートルズ

Thanks! Rolling Stone Japan

MV ジュリアン・レノン Lucky Ones

21日(現地時間)、ジャスティン・クレイトンと共同プロデュースしたジュリアン・レノンの新作「Jude」より、Lucky Ones のミュージックビデオが公開されました。

Thanks! Julian Lennon



TV , ラジオ
3/31 10:55~11:00 らじるの時間 NHK-FM
3/31 10:55~11:00 らじるの時間 NHKラジオ第1
3/31 14:25~14:30 らじるの時間 NHKラジオ第2
3/31 23:55~24:00 らじるの時間 NHK-FM
4/9 13:00 ディスカバー・ビートルズⅡ NHK-FM
4/14 10:00 ディスカバー・ビートルズⅡ NHK-FM

CD
3/31 ビートルズ 1964・US・ファースト・アタック
3/31 ウイングス Live In Melbourne
3/31 ポール・マッカートニー Live In The USA 1993
3/31 ゲイリー・ムーア スティル・ゴット・ザ・ブルーズ (ジョージ・ハリスン参加)
4/7 ジョージ・ハリスン Live Collection
4/19 ウイングス オン・ツアー・ウィズ・ア・リトル・ビット・オブ・ベネルックス 1973
4/21 イアン・ハンター Defiance Part 1 (リンゴ・スター参加)
4/21 NOW That's What I Call Massive Hits #1s (ポール・マッカートニー曲収録)
4/21 エミット・ローズ Emitt Rhodes Recordings 1969-1973
4/22 リンゴ・スター Stop and Smell The Roses
4/26 マイク・ヴァイオラ ポール・マッカーシー
4/28 ジョージ・マーティン ビートル・ガール 1964-1966
5/19 ラー・バンド Clouds Across The Moon – The Rah Band Story Vol.2
5/26 ポール・マッカートニー Live On Air / Radio Broadcast Recordings 1990 / 1993
秋 ドリー・パートン Rock Star (ポール・マッカートニー参加)
年内 ヨーコ・オノ ストーリー
年内 ヨーコ・オノ シーズン・オブ・グラス
年内 ヨーコ・オノ イッツ・オールライト
年内 ヨーコ・オノ スターピース
年内? ローリング・ストーンズ (ポール・マッカートニー、リンゴ・スター参加?)

グッズ
3/31まで ザ・ビートルズ「リボルバー」Tシャツ・プレゼント
8月 BE@RBRICK The Beatles "REVOLVER"

イベント
3/31まで The Beatles:Get Back to Let It Be 展
4/1 ビートルズのチカラ! 東京・中目黒
4/2 ビートルズのチカラ! 東京・中目黒
4/7~9 レコードフェスタ大阪
4/8 13:00 アラウンド・ザ・ビートルズ2023 いま改めてビートルズの魅力を再検証
4/9 14:00 「プリーズ・プリーズ・ミー」発売60周年記念 ~デビュー前後のビートルズ~
4/15 14:00 AUTOMOBILE COUNCIL 2023 60年代はクルマと音楽の黄金時代~ブレッド&バター
4/15 16:00 AUTOMOBILE COUNCIL 2023 立川直樹 選曲 (ビートルズ他)
4/21 19:00 MUSIC LIFE ザ・ビートルズ リボルバー エディション 出版記念 ロック落語会
4/22 レコード・ストア・デイ Record Store Day 2023
4/23 14:00 NHKカルチャー ザ・ビートルズのアルバムデビュー60周年 語り尽くしの「THE BEATLES」
4/23 14:30 ビートルズを楽しむ
4/23 BACKBEAT プレビュー公演
4/28~5/3 BACKBEAT 兵庫公演
5/6~7 BACKBEAT 熊本公演
5/13 13:00 アラウンド・ザ・ビートルズ2023 いま改めてビートルズの魅力を再検証
5/19 18:00 MUSIC LIFE トークショウ in OSAKA
5/19~6/17 リンゴ・スター 北米ツアー
5/20~21 BACKBEAT 大阪公演
5/24~31 BACKBEAT 東京公演
5/28 Mojomo ビートルズデイ 2023
6/3 13:00 アラウンド・ザ・ビートルズ2023 いま改めてビートルズの魅力を再検証
6/7~16 藤本国彦と行くビートルズゆかりの地への旅 ロンドン・リバプール・ハンブルグ
6/10 12:00 ポール・マッカートニー研究会 梅の部対談 Vol.3 祝!赤盤・青盤発売50周年
6/11 12:00 ポール・マッカートニー研究会 梅の部対談 Vol.3 祝!赤盤・青盤発売50周年
6/24 ウクライナ支援コンサート (ポール・マッカートニー出演?)
6/28~10/1 Paul McCartney Photographs 1963–64 Eyes of the Storm
夏 Fender Flagship Tokyo

アナログ盤
4/7 イースト・オブ・エデン Snafu (ジェフ・ブリットン参加)
4/14 マイク・ヴァイオラ Paul McCarthy
4/21 イアン・ハンター Defiance Part 1 (リンゴ・スター参加)
4/22 ウイングス Red Rose Speedway 50周年記念限定盤
4/22 ジョン・レノン Gimme Some Truth 10インチEPボックス
4/22 リンゴ・スター Stop and Smell The Roses
4/22 エディー・マネー The Covers (ビートルズ曲収録)
年内 ヨーコ・オノ ストーリー
年内 ヨーコ・オノ シーズン・オブ・グラス
年内 ヨーコ・オノ イッツ・オールライト
年内 ヨーコ・オノ スターピース

本、雑誌、ムック
4/10 名曲!ビートルズ~乃木坂46
5月 ディスカバー・ビートルズ THE BOOK
5/26 初盤道 究極のアナログレコード攻略ガイド オリジナル・ファーストプレスを求めて(仮)
6/13 ポール・マッカートニー 1964 Eyes of the Storm
夏 「タッグ・オブ・ウォー」図鑑(仮)
年内 ポール・マッカートニー国内盤シングルレコード大全(仮)
年内 マル・エヴァンス伝記本

映画
4/11 Little Richard:I Am Everything (ポール・マッカートニー出演)
4/16 19:00 トークイベント付き上映 ジョン・レノン ~音楽で世界を変えた男の真実~
4/21 Little Richard:I Am Everything (ポール・マッカートニー出演)
4/30 10:20 トークイベント付き上映 ジョン・レノン ~音楽で世界を変えた男の真実~
4/30 13:00 トークイベント付き上映 ゲット・バック
年内? Man on the Run
年内? Daytime Revolution (ジョン・レノン&オノ・ヨーコ出演)

Web配信
4/21 Little Richard:I Am Everything (ポール・マッカートニー出演)

4K Ultra HD , Blu-ray , DVD
4/26 ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド DVD