つれづれなるままにWINGSFAN
Tribute Vlog for Paul McCartney & Wings
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ポール・サルツマン監督インタビュー ビートルズの映画だが、若者の自分探しでもある
ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド

1968年2月、世界を席巻していたポップ界のスーパースター、ビートルズの4人は心の平安を求め、英国を離れてインド北部のリシケシュ近郊にある、マリハシのアシュラム(僧院)に飛んだ。超越瞑想運動の創始者マハリシ・ヨーギーに学ぶためである。これはビートルズのファンには有名なエピソード。というのも、喧騒から遠く離れたこの地で、プレッシャーから解放された彼らは「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」「ディア・プルーデンス」をはじめとする多くの名曲を創作したのだから。時を同じくしてカナダからインドにやってきた23歳の若者が失恋の心の傷を癒すべく、アシュラムの門を叩く。ビートルズが滞在中だからとの理由で中に入れもらえなかった彼は門の前のテントで8日間を過ごしたのちに入院を許され、瞑想を学ぶ同志としてビートルズのメンバーと一週間、交流を重ねた。その若者の名はポール・サルツマン。彼はカナダに帰国後、映画やテレビのディレクター、プロデューサーとしてキャリアを重ねていった。映画「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」はサルツマン本人が監督を務め、当時の体験を振り返ったドキュメンタリーだ。世界中が揺れていた1968年、偶然にもビートルズと出会った彼は、瞑想で得た心の平安とともにジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターと言葉をかわし、決してメディアには見せない彼らの素顔を写真に収めていた。本作の元になったのは、このときのサルツマンの写真と記憶に残るエピソード。79歳となった彼がこの映画で伝えたかったものは何か? サルツマンの声を聞いてみよう。

― 「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」は、どんな映画にしようと思って作ったのですか?

サルツマン : まず、私は優しい映画を作りたかった。誠実であり、隠し事もなく、観客に何かをストレートに感じさせる、そんな映画だ。私はこれまで多くの作品に関わってきたが、自分の経験を題材にした映画は2本しかない。しかも今回は自分が出演してカメラの前で話すという初めての経験をした。そういう意味では少々恥ずかしかったし、どう撮るべきかというとまどいはあったね。

― 1968年の体験談は、まず帰国後から32年後の2000年に、本として出版されていますね?

サルツマン : そのとおり。初めての30分の超越瞑想で失恋や傷心の辛さを超えられたのは本当に貴重な体験だった。映画の中で語られているエピソードではあるけれど、それは自分にとって人生を変える大きな出来事だったので、素晴らしいそのメソッドについて記しておきたかったんだ。今でこそ瞑想やヨガは一般的に知られているけれど、当時は非常にマイナーなものだったので、紹介する価値があると思った。そして出版と同時に、私の体験はこのとき一度終わったんだ。

― そのときの体験を、改めて映画にしようと思ったのはなぜですか?

サルツマン : 映画で紹介した通り、発端は娘が当時の記事や写真を発掘したことで、私にあのときの体験を思い出させたことだ。じつは最初の妻とはインドで知り合ったけれど、ビートルズと過ごしたことについては彼女に一度も話したことがなかった。30年来の親友にも話したことがなくて、ある日、1968年にマハリシのアシュラムでの体験のことを話したら、「今まで一度もそんなことを話してくれたことがなかったよね?」と言われて「そうだっけ?」と答えてしまった(苦笑) アシュラムでの体験はそれほどまでに私にとってプライベートであり、また自分の中でひと区切りを付けた昔話でもあったので、長い間、他人に語る気はなれなかった。今回映画でそれを語ることになったのは、自分を変えてくれた素晴らしい体験を今改めて伝える価値があると思ったからなんだ。もちろん、自分のしたことを声高にアピールするものであってはいけない。瞑想と同じように触れた人の胸にスーッと入っていく、そんな作品にしたかった。

― フィルムメーカーの技巧についてお聞かせください。ガンジス河を俯瞰するショットをはじめ、ドローンを使った撮影が効果を発揮していますね?

サルツマン : エアドローンを使った撮影は一度試してみたかったし、それには本作がうってつけだった。ガンジスの雄大な流れはもちろん、インドという広大な土地や、そこを走る列車のスピード感を収めるにはピッタリの技法だ。幸い、私が一緒に仕事をしている撮影監督は優れたドローンパイロットでもあり、面白い映像を撮ることができた。リシケシュまでの旅の道のりを表現するためにもドローン撮影は効果的だったと思う。

― あなたの若い頃のエピソードやビートルズとの出会いは、静止画に近いアニメーションで表現されていますが、これはどんな理由からですか?

サルツマン : 当時の記録映像があるわけではないので、どう再現するか考えた末の結果だ。役者を配して再現するのはありきたりだし、ハリウッド的なアニメーションやカートゥーンもこの映画には雰囲気が合わないだろう。かといって、何も描かないのも嫌だった。考えたあげく、グラフィックノベルのようなアニメーションにしようということに落ち着いた。グラフィックノベルには、コミックとは違ったリアリズムや感情の力強さがある。その雰囲気をこの映画に持ち込みたかったんだ。

― 他に監督として工夫を凝らした部分はありますか?

サルツマン : 僕らが移動する度に、地図の上をカナダ、イングランド、ムンバイと飛行機が飛び回る。あの描写は「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」からアイデアを得たんだ。スピルバーグさん、ありがとう。お会いしたことはないけれど感謝しているよ(笑)

― ビートルズの楽曲使用は厳しく管理されており、実際にこの映画に彼らの楽曲は使われていません。これは本作には大きなハンデとなったのではないですか?

サルツマン : 良い質問だね。この映画でビートルズの楽曲を使わせてもらうために、5年にわたって交渉を続けた。ビートルズの楽曲を管理するアップル・レコードの権利の窓口には何度も「ノー」と言われ続けた。「渡印50周年の際には考えてもいい」とも言われたが、そのときもダメだった。他のたくさんの関係者にアプローチして、ニューヨークにあるビートルズのオフィスに何度も足を運んだけれど、徒労に終わってしまった。なんとかできないかと思ったんだけどね。もちろん、ビートルズの楽曲を守り、大切に管理するのはとても良いことだと思うが、残念ではあったね。撮影が終わって編集に入った頃、出演者の一人でもあるデヴィッド・リンチも映画に深く関わってくれたので、映画のことを心配してくれたよ。彼も同じような苦労をしてきた映画監督だから、私の気持ちをわかってくれたんだと思う。それで最終的に私は完成した映画をアップルの関係者やポールに見せた。幸い、この映画を彼らは受け入れてくれたけれど、それは私にとって救いでもあった。

― 編集時は、ビートルズの楽曲起用を想定していたのですか?

サルツマン : そうだ。楽曲の使用許可を取れるかわからないままビートルズの曲を使って編集作業を続けたよ。編集作業の終盤になって、どうやってもビートルズの曲は使えないことがはっきりした。そこで彼らの曲を本編から外し、ふたりの作曲家を招いて、この映画のためのスコアを6週間でつくってもらったんだ。結果的に、それは映画のために良かったと思う。350人の観客の前で行なった試写会では、終映後にスタンディングオベーションが起きた。とても素晴らしい瞬間で、観客が受け入れてくれたことにホッとしたよ。思い返せば、ビートルズの楽曲は凄すぎて、それだけで圧倒されてしまう。私が本作で描きたかったのは、失恋した若者の自分探しの旅だ。インドに飛び、瞑想をして、偶然にもビートルズに出会い、貴重な時間を過ごすという、他愛のない小さな物語だ。それを踏まえると、ビートルズの強力なナンバーを使っていたら、あまりにもアンバランスで、伝えたいことも伝わらなかったかもしれない。今となっては、彼らが拒否し続けてくれたことに感謝しているよ。

― ビートルズのファンにとって嬉しいのは、いくつかの名曲が生まれた瞬間のエピソードです。「コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウ・ビル」のモデルとなった人物との面会は、その好例です。これはジョン・レノンがある猟師を風刺した歌ですが、よりセンセーショナルな曲として「セクシー・セディ」があります。この曲は導師であるマハリシが女性信者に手を出していたと、ジョンが信じ込んでしまったことから生まれた曲ですが、これについて劇中で触れてないのは、何か理由があるのでしょうか?

サルツマン : 「セクシー・セディ」のエピソードは初期の編集段階にはわずかだが入れていたんだ。あの歌でジョンがマハリシを中傷したのは、多くのファンが知る通り、ジョンの側近マジック・アレックスが、ジョンがマハリシに傾倒することを阻止しようとしてついた嘘に起因している。アレックスの嫉妬や悪意がジョンにあの曲を書かせることになってしまったんだ。一方でジョージはマハリシを擁護し続け、彼とポールは後にマハリシに謝罪をしている。ニューヨークタイムズも「セクシー・セディ」の真実についてリサーチして、マハリシのスキャンダルを虚偽として訴える記事を発表した。ジョンに嘘を吹き込んだアレックスはニューヨークタイムズを告訴すると騒いだものの、無駄な抵抗だった。ともかく、この事件は、私がインドを去ってから起きたことだ。補足的に入れていたそのエピソードは、この映画の中ではどうしてもネガティブに映った。そこで、自分がインドで経験したことだけを映画にしようという思いを新たにしたんだ。

「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」は、その場に居合わせた当事者、すなわちサルツマンの視点から見た1968年のビートルズの貴重な記録映画であるのは間違いない。しかし、一本の映画として見たとき、それは若かったサルツマンの人生の新たなステップを踏み出すまでのドラマとしても楽しむことができる。ビートルズのファンはもちろん、そうでない人にも、人生の岐路に立つ若者の青春期の物語として熱いものを感じさせるに違いない。

ポール・サルツマン
1943年生まれ。エミー賞を2度受賞したカナダの映画、テレビのプロデューサー、監督であり、300本以上のドラマやドキュメンタリー作品を手がけている。俳優モーガン・フリーマンが出演した2008年の長編ドキュメンタリー映画「Prom Night in Mississippi」は2009年のサンダンス映画祭でプレミア上映された。「The Last White Knight-Is Reconciliation Possible?」は2012年のトロント映画祭でプレミア上映され、モーガン・フリーマン、ハリー・ベラフォンテ、ディレイ・デ・ラ・ベックウィズ(バイロン・デ・ラ・ベックウィズの息子)らが出演している。1968年、インドのマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの修道院で瞑想を学ぶ。その際にビートルズ、ミア・ファロー、ドノヴァン、ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴらを撮影した写真は著書「The Beatles in Rishikesh」として出版され、2018年に50周年特別版として再出版された。

ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド

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